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No.03 正確な角丸を描くには

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InDesignで角丸長方形を描画すると、その角丸は指定した値のキレイな角丸になりません。
下図は、シアンの角丸長方形がIllustratorで作成したもの、マゼンタの角丸長方形はInDesignで作成したものです。どちらも同じ角丸の値(5mm)を指定していますが、形状が異なっているのが分かります。

これは、InDesignがリリースされた当初から問題となっており、これまで何度も改善要求がなされていますが、いまだに改善されていません。そこで、回避するためのいくつかの方法をご紹介していきます(本来、Adobeが修正すべき問題なので、早急に改善してくれることを望みます)。

まずは、Illustratorで角丸長方形を作成、InDesignにペーストする方法です。InDesignでは、Illustratorのパスオブジェクトを、パスのまま取り込むことができます。手っ取り早く作業するには、良い方法です。

次は、角丸長方形を「線」として描画する方法です。下図のように、[線]パネルで太い[線幅]を指定し、[種類]に「句点」または「点」を選択し、[間隔のカラー]を指定します。図では、分かりやすいように[線]のカラーをマゼンタ、[間隔のカラー]にイエローを指定しています。実際の作業では、[線]のカラーと[間隔のカラー]を同じにすれば良いというわけです。ただし、この方法は端が半円になっている場合にしか使えません。

ちなみに、テキストオブジェクトの場合には、[段落境界線]を使って同様のことが可能です。[段落境界線]ダイアログで[境界線を挿入]にチェックを入れ、[オフセット]や[インデント]を指定したら、[種類]に「句点」または「点」を選択し、[カラー]と[間隔のカラー]に同じカラーを指定します(下図)。なお、[前境界線]と[後境界線]を両方使用すれば、角丸の囲み枠も作成可能です。

最後の方法として、スクリプトをご紹介させていただきます。お〜まちさんが運営されている『ディザInDesign』さんから「kadomaru.jsx」をダウンロードして使用することで、キレイな角丸が作成できます。

角丸長方形に変換、または作成を行う

(注意点)
なお、Illustratorのパスオブジェクトをペーストしたり、InDesignの複数のオブジェクトを合体させたり、スクリプトを使用して角丸を作成しているような場合には、サイズ変更により角丸の形状が変わってしまうので注意が必要です(InDesignの[角オプション]の機能で角丸を作成している場合には問題ありません)。



No.04 段落境界線を活用する

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[段落境界線]とは、段落に対して境界線を引く機能です。下線のように、テキストに対して罫線を引く機能だと思われがちですが、テキストの増減に応じた色ベタや枠囲みのオブジェクトを作成することもできる便利な機能です。
まずは、下図の見出し部分に対して、段落境界線を適用してみましょう。

[段落]パネルのパネルメニューから[段落境界線]を選択し、[段落境界線]ダイアログが表示したら、[前境界線]の[境界線を挿入]にチェックを入れ、[線幅]を設定します(図では0.1 mm)。また、目的に応じて[オフセット]を設定します。ここでは「−1 mm」に設定したことで、文字の仮想ボディの底辺より1mm下に境界線が作成されます(下図)。

では今度は、見出しの背景に色ベタのオブジェクトを設定してみましょう。なお、見出し部分には、あらかじめ[左/上インデント]を「1mm」に設定してあります(下図)。

[段落境界線]ダイアログを表示させ、下図のように指定します。ポイントは、太い[線幅]を指定し、境界線がテキストの真ん中くるよう設定することです。また[幅]を「列」から「テキスト」に変更しておくことで、テキストのある部分にだけ境界線を引くことができます(下図)。

では、見出しのテキストを増減させてみましょう。下図のようにテキスト量に応じて、段落境界線が可変するのが分かるはずです。

今度は、見出しに枠囲みの境界線を設定してみましょう。InDesignの段落境界線では、[前境界線]と[後境界線]の2つを設定できますが、両方設定することで、枠囲みを再現できます。ここでは、下図のように設定しました。ポイントは、[前境界線]と[後境界線]が同じ位置に重なるように設定し、[後境界線]の[カラー]を「紙色」に、そして[後境界線]の[線幅]を若干細く設定することです。こうすることで、線幅の差分の半分が罫線のように表示されて見えるというわけです。
※[後境界線]は[前境界線]よりも前面に描画されます。

設定が反映されたテキストです(下図)。

同様に角丸の境界線も作成できます。ポイントは、[種類]に「句点」または「点」を選択し、それぞれ[カラー]と[間隔のカラー]に同じカラーを指定することです(下図)。

設定が反映されたテキストです(下図)。なお、これらの設定は、段落スタイルとして運用すると、さらに便利に活用することができます。


No.05 最低限覚えておきたいショートカット

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素早く作業するために、ショートカットは欠かせません。できるだけ多くのショートカットを覚えるに越したことはありませんが、今回は、最低限覚えておきたいショートカットをご紹介しておきたいと思います。

X:「塗り」と「線」のアクティブを切り替える
/:カラーを「なし」に
shift+X:「塗り」と「線」のカラーを入れ替える
J:フレームとテキストのどちらのカラー設定をアクティブにするかを切り替える
w:「標準モード」と「プレビューモード」の切り替え
選択ツールから文字ツールへ持ち替える:選択ツールでテキストフレーム内をダブルクリック
単語の選択:文字ツールでダブルクリック
行の選択:文字ツールでトリプルクリック
段落の選択:文字ツールで4回クリック
テキスト編集中にcommand(WindowsはCtrl)キーを押すと一時的に選択ツールに
テキスト編集中にescキーを押すと選択ツールに切り替わり、そのテキストフレームが選択される
テキスト編集中にoption(WindowsはAlt)キーを押すと一時的に手のひらツールに
画像の中身を選択:選択ツールで画像をダブルクリック

もちろん、これ以外にもたくさんのショートカットを覚えてください。
なお、ショートカットが割り当てられていないメニューやコマンドにも、ショートカットを設定することが可能です。まず、[編集]メニューから[キーボードショートカット]を選択します(下図)。

[キーボードショートカット]ダイアログが表示されるので(下図)、[新規セット]を作成してショートカットを割り当てればOKです。なお、[セット表示]ボタンをクリックすることで、ショートカットの一覧をテキストとして表示することも可能です。プリントして、ショートカットを覚える時の参考にすると良いかもしれません。

ちなみに、カスタムで作成したショートカットは、初期設定の「InDesign Shortcut Sets」の中に保存されます(下図)。


No.06 正規表現を使って合成フォントのような表現を目指す

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InDesignには、「かな」や「欧文」に異なるフォントを指定できる「合成フォント」という機能が用意されています。[書式]メニューから[合成フォント]を選択すると、[合成フォント]ダイアログが表示されるので、新規で合成フォントを作成し、下図のように目的に応じて各項目を設定すればOKです。ちなみに、下図は「A-OTF リュウミンPr6N R-KL」のベースフォントに対し、[半角欧文]と[半角数字]に「Garamond Premier Pro regular」を指定し、[サイズ]や[ベースライン]を調整したものです。
なお、合成フォントの各文字種に、それぞれどのような文字が含まれているかは、NAOIさんのサイトで詳しく解説されています。
http://d.hatena.ne.jp/NAOI/20091111/1257923050

あとは、フォントメニューからこの合成フォントを指定すれば良いのですが、合成フォントを使っていると「ドキュメントを開くたびに、合成フォントの複製が増えていく」「ドキュメントを開くと合成フォントがきちんと読み込まれない」」等、問題が起きるという話もよく聞きます。そこで今回は、合成フォントを使わずに、「正規表現スタイル」の機能を使って「欧文」に任意のフォントを指定する方法を考えてみたいと思います。なお、必ずしもこの方法がベストというわけではなく、こんな方法もあるということで覚えておいていただければと思います。
まず、「A-OTF リュウミンPr6N R-KL」を使用したテキストに対して段落スタイルを作成しておきます。ここでは「A」という名前の「段落スタイル」を作成しました(下図)。

次に「欧文」のテキストに対して適用する文字スタイルを作成します。ここでは「Garamond Premier Pro Regular」を指定し、さらにサイズと位置を調整するために、[垂直比率]と[水平比率]を「112%」、[ベースラインシフト]を「0.2H」、[言語]を「英語:米国」としました(下図)。
なお、[ベースラインシフト]の値は、その文字サイズに対して何%ぐらい上下させるかを計算して算出してください。また、[言語]にも目的のものを指定しておくのがお勧めです(スペルチェック等が可能になります)。

この設定を「文字スタイル」として保存しておきます。ここでは「欧文用」という名前で登録しました(下図)。

段落スタイル「A」をダブルクリックして[段落スタイルの編集]ダイアログを表示させたら、左側のリストから[正規表現スタイル]を選択し、[新規正規表現スタイル]ボタンをクリックします。そして[スタイルを適用]には、先程、作成した文字スタイル「欧文用」を指定します。さらに[テキスト]には、欧文部分をヒットさせるための正規表現を記述します。
ここでは、まず[テキスト]に
 [0-9a-zA-Z]
と記述しました(下図)。

このように記述することで、0から9までの数字とAからZまでの大文字と小文字がヒットし、文字スタイルが適用されます(下図では分かりやすいように文字スタイルが適用された部分にマゼンタのカラーも設定しています)。
※[☆-★]のように記述すると、☆から★までのユニコード番号の文字がすべてヒットします。なお、[テキスト]のポップアップメニューから指定できる正規表現の一覧は、市川せうぞーさんの以下のサイトを参照されることをお勧めします。
http://www.seuzo.jp/st/Other/InDesign_regex.html

しかし、実際にはこのままではうまくありません。ドットやカンマ等の約物や記号類の文字はヒットせず、指定した欧文フォントが適用されないからです。これらの文字を追加するには、いろいろな正規表現の記述方法があります。例えば、ドットとカンマ、ハイフンを追加したのであれば、
 [0-9a-zA-Z.,-]
のように記述していってもかまいません。でも、数が多いと面倒ですよね。そこで、ここではユニコード番号を指定して設定してみることにしますが、その前にInDesignの合成フォントの各文字種に、それぞれどのような文字が含まれているかを確認しておきましょう(下図)。青く色が付いている文字が、合成フォントを指定した際に、[半角欧文]と[半角数字]で使用される文字です。ちなみに、フォントには「Garamond Premier Pro Regular」を使用しています。

まずは、青く色が付いている最初の文字u+0020と最後の文字u+25CAの範囲を指定してみましょう。
 [\x{0020}-\x{25CA}]
のように記述します(下図)。

すると、適用したくない文字にも欧文フォントが当たってしまっているのが分かります(下図)。指定した範囲のコード番号には、欧文フォントを適用したくない文字もあったということです。

そこで、今度は下図のように指定してみました(下図)。
 [\x{0020}-\x{00B0}]
 [\x{00B2}-\x{00D6}]
 [\x{00D8}-\x{00F6}]
 [\x{00F8}-\x{02DD}]
 [\x{0020}-\x{25CA}]
 [–‚„•‹›⁄€™∆∏∑≈≤≥◊]

最終行の設定は、コード番号の範囲を指定せず、実際の文字を入力しています。なお、どの文字を欧文フォントとして使用したいかによって、この設定内容は変わってくるので注意してください。

この設定では、合成フォントの[半角欧文]と[半角数字]が適用される文字よりも多くの文字に欧文フォントが適用される内容となっていますが、おおむね思い通りに設定できました(下図)。

しかし、まだこれでOKではありません。次は、引用符を設定したいと思います。[段落スタイルの編集]ダイアログの[正規表現スタイル]で下図のように設定します。
 [“”‘’]
シングルクォーテーションマーク「u+2018」「u+2019」
ダブルクォーテーションマーク「u+0201C」「u+0201D」

これにより、欧文用の正しい引用符にも指定した欧文フォントが反映されます(下図)。

(最後に)
今回、正規表現スタイルを使用して合成フォントと同様の見た目になるよう考えてみましたが、もっと良い設定方法や、気をつけた方が良いポイントがあるのではないかと思います。ご意見をいただければ幸いです。

(追記)
なお、InDesign CS6までとInDesign CC以降では、[半角数字]に適用されるアキ量が異なるので注意が必要です。InDesign CS6までは、[半角数字]が[半角欧文]として認識され、文字組みアキ量設定の[和文と欧文の間]のアキ量が適用されていました。しかし、InDesign CC以降は、[半角数字]は[半角数字]としてきちんと認識され、[和文と英数字の間]のアキ量が適用されるように修正されています。
この件に関しては、こちらの記事『InDesign CC No.07 合成フォント使用時に文字組みが変わる?』もご覧下さい。

また、u+2014のEMダーシに対しても欧文フォントが適用された方がよいとのご指摘を受けましたので、正規表現スタイルの最後の行にu+2014も追加しておくと良いかと思います(下図)。


第42回勉強会終了報告

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2017年5月27日(土)、「第42回勉強会」が名古屋のウインクあいちで開催されました。今回は、当勉強会ではおなじみの3人の、それぞれ実用性の高い内容でした。
Session 1は、Adobeソフトウェア関連のセミナーで全国を飛び回る、大倉照結さんによる、Creative Cloudの意外と知られていない実用テクニックや機能の紹介。
Session 2は、DTPオペレーター・イラストレーターとして活躍しつつ、DTPやデザイン関連の記事やブログの執筆で有名なhamkoさんによる、イラスト制作に役立つIllustratorのテクニックと機能の紹介。
Session 3は、昨年発売された『デザインのバリエーションや代案をくださいと言われてももう悩まない本。』の著者で、グラフィックデザイナーの樋口泰行さんによるレイアウトのテクニックや発想法に関する講演でした。

Session 1:イマドキ風!Creative Cloudアプリの使いどころ
スピーカー:大倉 照結 氏

ほぼすべてのCreative Cloudアプリに精通しているようにも思えるほど、幅広い守備範囲で毎回驚きを与えてくれる大倉さん。今回のSessionは、昔からAdobe製品を使用している人ほど知らなかったり、意外性を感じる内容だったのではないでしょうか。
簡単な自己紹介から入り、まずはCreative Cloudの基本的な情報の紹介。近年はモバイル用のアプリも増え、Creative Cloudを構成するアプリの数は数十になるが、アプリのアイコンは、デスクトップ用が四角、モバイル用が角丸のデザインになっているという見分け方を紹介。そして、Creative Cloudのアプリと機能は「仕事用」「プライベート用」それぞれに適したものがあり、使い分けると便利だと言います。
まず「データ送信編」では、仕事用のデータをファイルストレージ機能を使って共有する方法を紹介。次に「データ送信・校正」としてAcrobatの機能でサーバー共有→校正の流れをモバイルアプリで簡単に行う方法を、iPhoneを使ってデモ。「素材作成」ではCapture CCでパターン作成、「ページ作成」としてComp CCでデザインカンプの作成、「SNS活用」では、Spark、Post、Videoを使用したフォトブックや動画を作成、そして「飲み会ネタ」として使える自撮りアプリに使えるPhotoshop Fixなどの紹介がありました。
その他に、Photoshopを使用した簡単な「画像の引き延ばし方法」といった便利技の紹介もありました。
Creative Cloudは単体では完結せず、「クラウド」という言葉への苦手意識を持たずに、色々試しながら自分にとって便利な組み合わせを見つけることがお勧めということで、Sessionを終えました。

Session 2:イラスト制作のためのIllustrator ベクターでもっと自由に描いてみよう
スピーカー:hamko 氏ham factory

今回のSessionは、今年のpageで好評だったセミナーの改訂版で、名古屋では初めての講演内容とのこと。イラストを使いたいけれども時間や予算がない場合、自分で描くためのテクニックを紹介していただきました。
まずは自己紹介として、保育施設内の内装用イラストや『+Designing』誌でのカレイドインキのサンプル用イラストなどの事例を紹介。Illustratorを使用してのイラスト制作のポイントとして「パーツ単位で考え、パズルのように組み合わせる」「パーツの仕組みを考える」ことが挙げられるとい言います。そのパーツを作るうえで、役に立つツールが「ブラシ」であり、「散布ブラシ」「アートブラシ」「パターンブラシ」の3種類のブラシの特徴や使いどころを紹介。事例となるイラストデータのそれぞれの部品をどのようにして制作したかを、デモを交えて説明されました。作成したパーツを、ブラシとして登録することで、汎用性があり直しに強いデータが制作できるため、作業効率が上がるとのことでした。「複雑なもの」としてぬいぐるみの毛並みや、クラゲの触手、フリルの装飾なども「どのようにパーツに分解して」「ブラシを活用して、簡単に描くか」を説明されました。これらの複雑なものも、単純なパーツの組み合わせで構成されているため、イラストが苦手でも、トライしてみたくなるようなテクニックでした。
さらに、今回は名古屋での講演とのことで、しゃちほこのイラストをアナログ風なタッチで描く方法も披露されました。

Session 3:同素材から多くのデザインバリエーションを生み出す考えかた
スピーカー:樋口 泰行 氏(有限会社樋口デザイン事務所代表)

デザインのバリエーションや代案をくださいと言われてももう悩まない本。』(エクスナレッジ刊)や+Designingの特集記事で、レイアウトデザインのバリエーションを多く作る考え方を披露された、グラフィックデザイナーの樋口さん。
まずは、「なぜ複数案を作るのか」として「デザインの方向性を探る」「ターゲットや目的などを知る」「客観的に見る」「デザインを言語化する」という意味があり、それらは「クライアントと直接打ち合わせができない場合」や「メールのやりとりだけで仕事が完結してしまう場合」など、ほとんどのデザイナーであれば直面しているであろう、現実的な問題への対処法になるといいます。
サンプルとして用意された「キッチン雑貨店のフライヤーを制作する」という事例で、まずはフライヤーで使用される素材(イメージ写真・商品写真・文字要素)を提示。ここからバリエーションを作っていく方法として「レイアウトをアレンジ」「文字をアレンジ」「色や配色をアレンジ」「装飾を加えてアレンジ」という4つの考え方があり、実際にどのようなレイアウトが可能かを、完成されたデザインで紹介されました。それぞれ「イメージ写真を大きく見せたい場合」「複数の写真を見せたい場合」「文字をアレンジする場合」など目的別に、サンプルを紹介しながら、どのようなことに気をつければよいのか、や単調にならないためのコツなど、デザイン制作において実用的な考え方を、DTPのTipsなどを交えながらわかりやすく説明されました。
「さいたまDTP勉強会」で、このサンプルを使用したワークショップを開催したところ、50人が参加し、同一素材で100パターンのレイアウトができたとのことです。2017年9月27日にも、デザインバリエーションのワークショップを行うそうです。

レポート:加納 佑輔


No.07 スタイルのオーバーライドについて

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段落スタイルや文字スタイル等、InDesignを使いこなすうえでスタイル機能は重要です。しかし、意外と知られていないのがオーバーライドの動作です。今回は、スタイル機能のオーバーライドについて見ていきたいと思います。
まず、「A」という名前の段落スタイルを適用したテキストを用意しました(下図)。

このテキストの「窮屈」という文字に下線を設定します。すると、段落スタイル「A」に+記号が表示され、オーバーライド(選択しているテキストと段落スタイルの設定内容に違いがある状態)になります(下図)。当たり前ですが、「下線」という書式属性が追加されたために、オーバーライド状態になったわけです。

今度は、「意地」という文字にモノルビを設定してみます。オーバーライド状態にはなっていません(下図)。

では今度は、モノルビからグループルビに変更してみましょう。すると、オーバーライド状態になっているのが分かります(下図)。

試しに、option(Windowsではalt)キーを押しながら段落スタイル名をクリックして[オーバーライド消去]を実行すると、「意」という文字だけにモノルビがふられてしまいます(下図)。つまり、段落スタイル「A」は、モノルビをベースとしたスタイルになっているということです。

次に「情」という文字を異体字の「情(右下が円)」に変更してみます。すると、オーバーライド状態になります(下図)。

この時、[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x60C5」「OTF:aalt(1) ccmp」と表示されています(下図)。

では、option(Windowsではalt)+クリックして、オーバーライドを消去してみましょう。すると、文字は元の「情」に戻ります(下図)。

[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x60C5」「OTF:liga ccmp」と表示されています(下図)。「情」と「情(右下が円)」はどちらも同じUnicode番号ですが、「OTF」の情報が異なるのが分かります。ちなみに、「aalt」とは「Access All Alternates」の略で、全ての異体字にアクセスするという意味のタグとなりますが、「情(右下が円)」という文字は「情」に異体字情報のaalt(1)を付与することで表示されていました。そのため、オーバーライドを消去することで異体字情報のaalt(1)が消去され、親文字である「情」に戻ってしまったというわけです。

では今度は、「高」という文字を選択してみます。[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x9AD8」「OTF:liga ccmp」と表示されています(下図)。

[字形]パネルから「はしご高」に変更してみます。すると、オーバーライド状態になっているのが分かります(下図)。

この時、[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x9AD9」「OTF:ccmp」と表示されています(下図)。

では、option(Windowsではalt)+クリックして、オーバーライドを消去してみましょう。このケースの場合、文字は「はしご高」のままで、オーバーライドも消去されました(下図)。

[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x9AD9」「OTF:liga ccmp」と表示されています(下図)。

このケースの場合、文字じたいは変わりませんが、オーバーライドは消去されました。なお、オーバーライド消去により、どのような情報が消去されたのかは、実行前に段落スタイルにマウスオーバーすると分かります。下図では、[欧文合字]と[前後関係に依存する字形]が消去されるのが分かります。

なお、「情」のケースと異なって、オーバーライド消去しても字形が戻らなかったのは、[字形]パネルで文字を置換した際に、置換前と置換後のUnicode番号が異なっていたからです。「高」のケースでは、0x9AD8から0x9AD9に変更されています。

ここでお伝えしたいのは、「見た目の文字は同じでも内部的には同じ文字ではない」といったケースがあったり、「オーバーライド消去することで文字が変わることがある」ので注意が必要ということです。
なお、CC 2015.3からは[スタイルオーバーライドハイライター]ボタン(下図赤丸部分)をクリックすることで、オーバーライド部分をハイライト表示できるので、ちょくちょくチェックするようにすると良いでしょう。詳細は、InDesign CC 2015『No.16 スタイルのオーバーライドマーカー』を参照してください。


No.13 Capture CC 2.6.2

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2017年6月22日に、iOS用のバージョン2.6.2のアップデートが配布されました。このアップデートでは、[シェイプ]の機能に[自動クリーンアップ]ボタンが追加されました。
このボタンを使用することで、高コントラストの画像からシェイプを作成する際に、不要な細かい線を自動で取り除くことができるそうです。まず、カメラモードで目的のモノを表示します(下図)。

ちょうど良い位置やサイズになったら、画面上をタップして静止させ、[自動クリーンアップ]ボタン(下図赤丸部分)をタップすると、画像をキレイな状態にクリーンアップしてくれます。

また、カメラモードで撮影中に、ズームしてシェイプの細部を確認することもできます(下図)。

他にも、64ビットデバイス(iPhone 5S以降、およびiPad Air以降のデバイス) の場合、ベクター画像がより精細に描画され、高画質でなめらかなシェイプを表示、操作することができるようになったそうです。

さらに、iOS 10の高色域サポートにより、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPad Proでのカラーの色再現力がアップしており、テーマからより多くの色を選択、使用することができるそうです。

なお、Capture CCはAppleの最新テクノロジーであるMetal API(3DコンピューターグラフィックスAPI)を活用しているため、iPhoneとiPadの32ビットモデル (iPhone 5S以前とiPad mini 1以前)では、2017年夏まででアップデートの提供が終了するそうです。それ以降も、これらのデバイスでCapture CCを使用できますが、アップデートは64ビットモデルのデバイスに対してのみ配信されるそうです。


No.08 言語について

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[文字]パネルにある[言語]の設定は、デフォルトでは「日本語」となっていますが、通常、和文組版をおこなう際にはとくに気にしていない方も多いのではないでしょうか(下図)。

しかし、欧文組版をおこなう際には、「英語:英国」や「英語:米国」など、その国の言語にあったものを選択する必要があります。ここで適切な言語を設定しておかないと、ハイフネーション処理や欧文スペルチェックが効かないからです。
なお、InDesignの英語のデフォルト辞書には「Hunspell」が指定されており、この辞書を利用してハイフネーション処理や欧文スペルチェックをおこなっています(バージョンCS5までは、英語用に「Proximity」という辞書のみがインストールされていましたが、CS5.5からは「Hunspell」が追加され、CS6からはデフォルト設定が「Hunspell」に変更されました)。

では、和文を組む際に、ところどころ出てくる欧文の単語をハイフネーション処理したい場合は、どうすれば良いでしょう。例えば、下図のようなケースだと、欧文単語がハイフネーション処理されていないため、1行目が間延びしてしまっています。

これは、[言語]が「日本語」になっているためです。そこで、「typesetting」の文字を選択して[言語]を「英語:米国」に変更します。すると、「Hunspell」の欧文辞書を利用して「typesetting」がハイフネーション処理されます(下図)。また、欧文スペルチェックも可能になります。

なお、[言語]の設定を欧文単語ごとに設定していては大変です。このような場合、和文テキストもすべて一緒に選択してから目的の[言語]に変更します。こうすることで、和文の[言語]は「日本語」のままで、欧文のみ[言語]を変更できます。
なお、Study Room other『No.06 正規表現を使って合成フォントのような表現を目指す』でご紹介したように、正規表現スタイルを使用すれば、欧文単語のみに異なる[言語]を設定するといったことも可能です。

※ユーザ辞書やダイナミックスペルチェック等に関しては、以下の内容も参照してください。
InDesign CS2『No.32 ユーザ辞書
InDesign CS2『No.21 ダイナミックスペルチェックと自動修正
InDesign 1.0『No.64 ハイフン



No.09 欧文組版の際に変更しておきたい設定

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InDesignのデフォルト設定は、基本的に和文組版用になっています。そのため、欧文組版をする際には、いくつかの設定を変更しておくと良いでしょう。
まず、[文字]パネルでは[言語]に目的のもの(「英語:米国」等)を選択しておきます。また、[カーニング]は[和文等幅]から[メトリクス]に変更しておくと良いでしょう(下図)。
※[言語]についての詳細は『other No.08 言語について』を参照してください。
※[メトリクス]についての詳細は『InDesign CS3 No.24 メトリクスカーニング時のモリサワフォン』を参照してください。

次に、[段落]パネルではコンポーザーを[Adobe欧文単数行コンポーザー]に変更しておきます(下図)。これにより、和文組版専用の機能はすべてスキップされます。

また、[行送りの基準位置]を「欧文ベースライン」に変更しておきます(下図)。これにより、欧文のベースラインを基準に行が送られます。

さらに、[オブジェクト]メニューにある[テキストフレーム設定]も変更しておくと良いでしょう。[ベースラインオプション]タブにある[先頭ベースライン位置]の[オフセット]を[仮想ボディの高さ]から[アセント]に変更します(下図)。なお、テキストがすべて大文字の場合は[オフセット]を[キャップハイト]に変更しておくと良いかもしれません。

なお、文字サイズの単位は「級」から「ポイント」へ変更するのも忘れずに。また、テキストを読み込む際には[英文引用符を使用]をオンにして読み込むようにしましょう。さらに、パッケージの際には[ドキュメントハイフネーション例外のみ使用]をオンにして実行するようにします。

ちなみに、慣れてきたら[段落]パネルのパネルメニューにある[ハイフネーション設定]も見直してみると良いでしょう。デフォルト設定では下図のようになっていますが、各項目を調整することで、ハイフネーションの処理が変わってきます。


第43回勉強会のお知らせ

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第43回勉強会の開催が決定しましたのでお知らせいたします。セミナー(および懇親会)参加希望の方は、「勉強会お申し込み」ボタンからお申し込みください。

なお、セミナー終了後にその場で交流会を開催させていただきます。日頃、同業他社の方と話をする機会が少ない方も、ぜひ交流を図って情報交換等をしていただければと思います。

■勉強会
日時:2017年11月18日(土)14時00分〜18時40分
    【セミナーは14時〜18時10分、交流会は18時10分〜18時40分を予定しています】
    (13時30分より受付開始)
会場:安保ホール 301号室
    〒450-0002 名古屋市中村区名駅3-15-9
    JR名古屋駅から徒歩3分(大名古屋ビルヂング 裏)
定員:108名
受講料:3,000円(勉強会当日、受付でお支払いください。希望者には領収書を発行できます)

■内容(予定)
Session 1:お客様サービスにつながる新たなデザインの独自化
〜情報保障を実現するメディア・ユニバーサルデザインの考え方〜

男性の20人に一人が色弱者、65歳以上の高齢者が人口の4分の1、在留外国人や外国人観光客の数は1500万人という実態をご存知ですか。昨年、障害者差別解消法という法律が施行され、役所や企業が正当な理由なく障害を理由に差別を禁じる法律ができました。
情報保障という言葉があります。情報のバリアフリーとも言われるこの考え方は、情報発信に関わる製作者は、全ての人に平等に情報が行き渡る事を考えて制作に携わる事が求められます。逆に言えばこうした考え方が、お客様サービスにつながり、制作に携わる人の独自化になるという事です。
メディア・ユニバーサルデザインはこれらの問題を解決していく考え方です。細かいテクニックは検定で学びますが、まずは入門編として概念をお話しします。

スピーカー:鳥原 久資 氏(株式会社マルワ代表取締役社長)
メディア・ユニバーサルデザイン協会理事
1958年 名古屋市生まれ 
愛知教育大学卒業後、愛知県公立小学校、名古屋市立中学校教諭として8年間勤務
1989年 株式会社丸和印刷(現株式会社マルワ)入社 
1998年 代表取締役社長就任

(公職)
平成15年度 名古屋商工会議所若鯱会代表幹事
現在 全国印刷工業組合連合会CSR推進委員会副委員長

(講演実績)
中部経済産業局、名古屋商工会議所、日本規格協会、中小企業大学校東京校、横浜市、中小企業家同友会、税理士会、メーカー他
・中小企業の社員教育 中小企業が進めるCSR 中小企業が進める環境活動
・小さな会社のBCP 中小企業が進めるメディア・ユニバーサルデザイン



Session 2:覚えておきたいInDesign時短テクニック
InDesignを操作するうえで「時短」に繋がるさまざまなテクニックをご紹介します。作業を一手間、二手間、減らすテクニック、さらには意外と知られていないTipsまで、時間の許すかぎりご紹介していきます。知っているのと、知らないのとでは作業時間に大きく差がでます。この機会にぜひ覚えておきましょう!

スピーカー:森 裕司(InDesignの勉強部屋
名古屋で活動するフリーランスのデザイナー。Webサイト『InDesignの勉強部屋』や、名古屋で活動するDTP関連の方を対象にスキルアップや交流を目的とした勉強会・懇親会を行う『DTPの勉強部屋』を主催。
InDesignプロフェッショナルの教科書』(MdN)や『神速InDesign』(アスキー・メディアワークス)、『InDesign CS6マスターブック』(マイナビ)など、テクニカルライターとしても30冊以上の著書を持つ。
また、Adobeサイト内の「YUJIが指南、今こそInDesignを使いこなそう」も執筆担当。
2016年11月末より、個人で執筆した『InDesignパーフェクトブック(PDF版)』のダウンロード販売をスタート。



Session 2:アピアランス道2017(グループの抜きとグループアピアランスで実現するアピアランスの新境地)
アピアランスを適用する対象は、パス、テキスト、レイヤーですが、さらに、グループを対象とすると、その可能性が広がります。
また、Illustrator 9.0から実装されていながら、あまり使われていない「グループの抜き」を使うことで、さらにできることが広がります。
デモを中心に、グループの抜きとグループアピアランスについて解説します。

スピーカー:鷹野 雅弘 氏(株式会社スイッチ
グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、Web制作の分野で、デザイン、オペレーション、設計・ディレクションなど、20年以上、第一線で手を動かし続けている。
そのノウハウをテクニカルライティングや講演に落とし込み、「制作→執筆→講演」のサイクルを回す。2015年から大阪芸術大学 客員教授
テクニカルライターとして30冊以上の著書を持ち、総販売数は17万部を超える。主な著書に『10倍ラクするIllustrator仕事術(増強改訂版)』(共著、技術評論社)など。
2005年からWeb制作者向けのセミナーイベント「CSS Nite」を主宰。都内での開催を中心に日本全国に飛び火し、500回を越える関連イベントを通して、のべ6万名を超える方が参加。
2,000エントリー、年間270万ビューを超えるDTP制作者向けの情報サイトDTP Transitは12年目に突入。



■タイムテーブル(予定)
14:00〜14:05 ごあいさつ
14:05〜15:15 Session 1:お客様サービスにつながる新たなデザインの独自化〜情報保障を実現するメディア・ユニバーサルデザインの考え方〜
15:15〜15:30 休憩
15:30〜16:40 Session 2:覚えておきたいInDesign時短テクニック
16:40〜16:55 休憩
16:55〜18:05 Session 3:アピアランス道 2017(グループの抜きとグループアピアランスで実現するアピアランスの新境地)
18:05〜18:10 ごあいさつ
18:10〜18:40 交流会

■懇親会(交流会の後、席を変えての飲み会となりますので、希望者のみ申し込んでください)
時間:18時50分頃〜
場所はセミナー会場近くの居酒屋を予定しています。料金は実費です。
詳細が決まりましたら、後程お知らせいたします。
※当日のドタキャンはご遠慮ください。前々日までにキャンセルのご連絡がない場合、料金をいただきます。

■お願い
※勉強会が近づきましたら、参加者には受講票をメールさせていただきます。
 セミナー当日はプリントして受付にご提示ください。
※当日はネームタッグをご用意いたしますので、名刺を1枚お持ちください。
※USTREAMでの中継や動画撮影は禁止とさせていただいております。
※キータイプの音が気になる方もいらっしゃいます。
 セミナー会場でパソコンを使用する際には、回りの迷惑にならない範囲でご使用ください。

※セミナーは先着順にて受付し、定員に達ししだい受付を締め切ります。
※重複してお申し込みはできません。
※部屋の温度調整は行いますが、座る場所によっては寒いといったケースがあるかもしれません。ひざ掛けやカーディガン等をお持ちいただくと良いかもしれません。
※申し込みのキャンセルや申し込み内容の変更、ご質問等がありましたら、「お問い合わせ」ボタンからご連絡下さい(その際には登録番号をお知らせください)。


No.01 段落の囲み罫と背景色

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CC 2015で搭載された[段落の背景色]の機能が、大幅にパワーアップして[段落の囲み罫と背景色]という機能として生まれ変わりました。
※[段落の背景色]の機能の詳細は、InDesign CC 2015『No.02 段落の背景色』を参照してください。

[段落の囲み罫と背景色]では、その名のとおり、段落に対して囲み罫や背景色を設定できます。これまでのように、段落境界線の機能を利用して、疑似的に作成することなく、高度な背景オブジェクトを作成できます。
まず、1行の段落に対して背景オブジェクトを作成してみましょう(下図)

段落内にカーソルを置いた状態で[段落]パネルのパネルメニューから[段落の囲み罫と背景色]を選択します(下図)。
※段落に対して背景色や囲み罫を設定するだけなら[段落]パネルの[背景色]と[囲み罫]のチェックボックスをオンにすることでも可能です。しかし、線幅やオフセット、角のサイズ等を調整したい場合には、[段落の囲み罫と背景色]ダイアログを表示する必要があります。

[段落の囲み罫と背景色]ダイアログが表示されるので、[囲み罫]タブを選択して、[囲み罫]にチェックを入れます。
まずは[線]の上下左右の太さと[カラー]、[オフセット]を指定してみます。ここでは、[線]の上下左右の太さをそれぞれ「0.2mm」、カラーを[黒]、上下左右の[オフセット]をそれぞれ「1mm」としました(下図赤枠)。

[プレビュー]にチェックを入れると、テキストに指定した値で囲み罫が適用されたのが分かるはずです(下図)。

今度は、[段落の囲み罫と背景色]ダイアログの[角のサイズとシェイプ]の[オフセット]を指定してみます。ここでは、「2mm」で[丸み(外)]を指定しました(下図赤枠)。

囲み罫に対して角丸が適用されます(下図)。

次に、[段落の囲み罫と背景色]ダイアログの[幅]を[列]から[テキスト]に変更してみます(下図赤枠)。

すると、テキスト量に応じた囲み罫が適用されます(下図)。もちろん、囲み罫はテキスト量に応じて可変します。

今度は、背景色を設定してみましょう。[背景色]タブを選択し、[背景色]にチェックを入れます。次に[カラー]と[濃淡]を指定し、[角のサイズとシェイプ]や[オフセット]も指定します(下図赤枠)。

テキストに対して背景色も適用されます(下図)。

もちろん、テキストが増減すれば、テキストに合わせて囲み罫や背景色も調整されます。

ちなみに、[段落の囲み罫と背景色]ダイアログで[フレームの形に合わせる]にチェックを入れることで、テキストフレーム内だけにカラーを設定するといったことも可能です(下図)。

また、同様の手順で複数行の段落に対しても、囲み罫や背景色を適用することが可能です(下図)。

では、段落が途中で改段するような場合はどうなるでしょうか。下図は、段落の途中で段が変わってしまったケースです。一見、問題なさそうですが、よく見ると段が変わってしまう部分の角丸の背景色が残念な結果になっています。もちろん、角丸でなければ何も問題ないのですが、角丸で段落が途中で改段するようなケースでは注意してください。

なお、[段落の囲み罫と背景色]ダイアログの[囲み罫]タブで[フレーム間/列間で段落が分割する場合は囲み罫を表示]をオンにしておくと、下図のように、分割された段落それぞれに対して囲み罫を表示するといったことも可能です。

では、複数の段落に対して、[段落の囲み罫と背景色]を適用するとどうなるでしょうか。実際に適用してみると、囲み罫や背景色はそれぞれの段落に対して適用されてしまいます(下図)。

これを1つの背景オブジェクトとして作成してみましょう。まず、改行を強制改行に変更します(下図赤枠)。すると、2つの段落が1つの段落とみなされ、囲み罫や背景色が適用されます。なお、強制改行はshift+returnで入力できます。

次に、強制改行の前に[書式]メニューから[特殊文字の挿入]→[その他]→[右インデントタブ]を実行します(下図)。

これで、2つの段落に対して、1つの背景オブジェクトを適用することができました(下図)。


No.02 類似フォントを表示

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フォントメニューに新しく[類似フォントを表示]ボタンが追加されました。例えば、現在使用している「Helvetica Nueu」を選択した状態で、この[類似フォントを表示]ボタンをオンにしてみましょう(下図)。

すると、フォントメニューには「Helvetica Nueu」に似たフォントのみがリストアップされます(下図)。

解除したい時は、もう一度、同じボタン([フィルターをクリア]ボタンに変わります)をクリックすればOKです。なお、残念ながら和文フォントには対応していません。

さらに、フォントのフィルタリングも可能になっています。フォントメニューの[フィルター]の[すべての分類]に目的の項目を選択します(下図)。

下図では[手書き]を選択しているので、自分のマシンにインストールされた手書き風のフォントのみがリストアップされます。こちらも、対象は欧文フォントのみです。


No.03 オブジェクトスタイルのサイズと位置のオプション

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オブジェクトスタイルに[サイズと位置のオプション]が追加されました。オブジェクトスタイルを作成して[オブジェクトスタイルオプション]ダイアログを表示すると、新しく[サイズと位置のオプション]が追加されているのが分かります(下図)。

このオプションは、デフォルト設定では[サイズ]と[位置]の[調整]が[なし]になっていますが、手動で変更することで、各項目が設定可能となり、オブジェクトスタイルにサイズと位置の情報を持たせることができます(下図)。
このオプションを設定したオブジェクトスタイルを適用すると、オブジェクトのサイズと位置が強制的に設定したサイズと位置に変更されます。各ページの同じ位置に同じサイズでオブジェクトを使用したいようなケースで便利な機能です。


No.04 スタートアップ画面

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InDesign CC 2018を起動した際のスタートアップの画面が変更されています。CC 2018を起動すると、まず下図のような画面が表示されます。画面下部にAdobe Stockの画像を検索するためのフィールドが移動し、上部に[作業]と[学ぶ]を切り替えるタブが追加されました。

[学ぶ]に切り替えると、InDesignに付いて学ぶことができるコンテンツが表示されれます(下図)。

次に[新規作成]ボタンをクリックすると、[最近使用したもの][保存済み][印刷][Web][モバイル]等、目的に応じたプリセットを選択する[新規ドキュメント]ダイアログが表示されます(下図)。IllustratorやPhotoshopでは既に導入されていた画面と同じ仕様になったわけです。
この画面でドキュメントのサイズや方向、ページ数等を指定して[レイアウトグリッド]あるいは[マージ・段組]のいずれかを選択して作業を進めます。以後、これまでと同じ画面が表示されます。

なお、CC 2017までの新規ドキュメントダイアログで作業したい方は、[環境設定]ダイアログの[一般]カテゴリーにある[従来の「新規ドキュメント」ダイアログを使用]をオンにします(下図赤枠)。


No.05 PDFのアクセシビリティの強化

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CC 2018では、PDFのアクセシビリティに関しての機能が強化されています。

Altテキスト:以前は、InDesignのネイティブオブジェクトとグラフィックを図としてタグ付けすることはできませんでした。CC 2018では、グラフィックに追加されるaltテキストがタグ付きPDFに書き出され、対応するaltテキストがスクリーンリーダーによってグラフィック用に読み取られます。
脚注のサポート:タグ付きPDFで、脚注の適切なタグ付けがサポートされるようになりました。
アンカー付きテキストフレームとアンカー付きグループのタグ付け:以前は使用できなかったアンカー付きオブジェクトのタグ付けサポートが追加されました。書き出したPDFで、アンカー付きテキストフレームとアンカー付きグループのタグを取得できるようになりました。
マスターページのタグ付け:マスターページ上のページオブジェクトは書き出したPDFでタグ付けできず、AcrobatのコンテンツパネルでArtifactタグが必要です。マスターページのアイテムをオーバーライドすると、書き出したPDFにページアイテムのタグが表示されます。
索引のタグ付け:以前は、索引を作成できましたが、索引のタグをPDFに書き出すことはできませんでした。CC 2018では、これが可能になり、以前は段落にロールマッピングされていた索引のタグ付けが、索引のみにマッピングされるようになりました。
リストタグの言語:以前は、書き出したPDFでリストタグの言語は、初期設定で英語でした。適切なリストの言語が、ユーザーが設定した内容に従って、タグ付きPDFに書き出されるようになりました。
リストのタグ付け:以前は、ネストされたリストのタグ構造がプライマリリストのLBodyに含まれ、読み上げが正しく行われていませんでしたが、ネストされたリストが正しい構造でタグ付けされるようになりました。
キャプションのタグ付け:ライブキャプションのタグ付けがサポートされるようになりました。ライブキャプション機能を使用して図にキャプションを付けると、キャプションタグがFigureタグの子として配置されます。
目次:以前は段落のタグ付けにマッピングされていた目次のタグ付け構造がサポートされています。また、ハイパーリンクを含む目次にはタグが必須となっています。



No.06 Duden辞書

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CC 2018では、[環境設定]ダイアログの[欧文辞書]カテゴリーに、新しく[Duen辞書]が追加されました(下図赤枠)。
これは、ドイツ語の辞書として定評があるDudenの辞書で、これにより、ドイツ語のハイフネーション、スペルチェックの質が大きく向上しています。

この項目は、デフォルトではオフになっていますが、これをオンにすると、[段落]パネルのパネルメニューから[ハイフネーション設定]ダイアログを表示させた際に、[Duenハイフネーション]が表示され[スタイル]が選択可能となります(下図赤枠)。

[スタイル]には[すべて][非美学以外すべて][美学][推奨される美学]のいずれかを選択可能で、それぞれ以下のような内容となります。
すべて(英語名:All)
技術的に正しいとされるハイフネーションをすべて使います。例えば、Ur-instinktとUrinstinktの両方、Auto-bahnとAu-tobahnの両方を表示します。
非美学以外すべて(英語名:All but unaesthetic)
すべての可能なハイフネーションが使われます。ただし、見た目の悪いハイフネーションは使いません。例えば、Urinstinktではなく、Urin-stinktと表示します。
美学(英語名:Aesthetic)
見た目がきれいなハイフネーションのみ表示します。例えば、Au-tobahnではなく、Auto-bahnと表示します。
推奨される美学(英語名:Preferred aesthetic)
可能であれば見た目がきれいなハイフネーションを使用しますが、6文字以上の長い文字部分については、見た目がきれいなハイフネーションにこだわらずハイフネーションされます。


No.07 文末脚注

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CC 2018では、文末脚注の機能が追加されています。例えば、下図の赤枠部分にカーソルを置き、文末脚注を付けたいとします。右クリック、あるいは[書式]メニューから[文末脚注を挿入]を選択します。

すると、自動的に最終ページが追加され、番号付きで下図のようなテキストフレームが作成されます。

脚注として使用するテキストを入力します(下図)。

元の箇所に戻ると、脚注番号が追加されているのが分かります(下図)。

同様の手順で必要な箇所に脚注の設定をしていきます(下図)。

では、脚注の書式を設定してみましょう。まず、[書式]メニューから[ドキュメント文末脚注オプション]を選択します(下図)。

[文末脚注オプション]ダイアログが表示されるので、目的応じて各項目を設定します(下図)。

ここでは[文末脚注タイトル]を「参考文献」に変更し、[番号付け]の[スタイル]を二桁のものに、さらに[文献脚注ヘッダー]と[文末脚注のフォーマット]の[段落スタイル]をあらかじめ作成しておいた段落スタイルに変更しました(下図赤枠部分)。もちろん、その他にもさまざまな項目が設定できます。

[OK]ボタンをクリックすると、設定した内容が脚注に反映されます(下図)。

なお、PDF、EPUB、HTMLの書き出しにも対応しており、読者は注釈から参考文献に直接ジャンプすることができます。もちろん、ハイパーリンクも設定可能です。


No.14 Adobe Capture CC(文字)

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2017年10月16日に、Capture CCのバージョン3.0.1のアップデートが配布されました。このアップデートでは、[文字]と[マテリアル]の機能が追加されました。
[文字]の機能では、キャプチャした画像のテキストを分析して Typekitフォントの中から最適な候補を探し出し、CCライブラリに文字スタイルとして保存して、Adobeのデスクトップアプリで使用できます。
[マテリアル]の機能では、さまざま画像からマテリアルテクスチャを生成することができます。作成したマテリアルは、CCライブラリを経由してAdobe Dimensions 使用できます。
ここでは、[文字]の機能を試してみましょう。まず、Capture CCを起動したら、[文字]をタップし(下図赤枠部分)、下の「+」ボタンをタップします。

カメラが起動するので、読み取りたいテキストを青い線の上に揃え、下のボタンをタップします(下図)。もちろん、カメラロールやAdobe Stockの画像を指定することもできます。

テキスト部分が青い枠で囲われるので、必要な部分が枠内に入るようにサイズを調整し、下のボタンをタップします(下図)。

読み込んだテキスト画像を元に、 Typekitフォントの中から最適な候補をいくつか表示してくれるので、より目的のフォントに近い候補を選択して、右上の[保存]ボタンをタップします(下図)。
なお、このサンプルにはTypekitフォントにある「Bebas Neue Regular」を使用していましたが、ドンピシャで候補を選び出してくれました。

[保存]の画面に移動するので、名前や保存先を指定して、下の[保存]ボタンをタップします(下図)。

この文字スタイルは、CCライブラリに保存されるので、Adobeのアプリケーションで使用することが可能になります(下図)。

なお、Typekitフォントにないフォントをキャプチャした場合には、似たフォントの候補が表示されます。下図は、新ゴRをキャプチャしたものです。また、和文フォントには対応していません。


No.08 CCライブラリのテキスト共有

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CC 2018では、CCライブラリを介して、ドキュメント内のテキストを他のAdobeアプリケーション間で共有できるようになりました。
InDesignドキュメント上のテキストフレームを[CCライブラリ]パネル上にドラッグすると、CCライブラリの[テキスト]カテゴリーに追加されます(下図)。この時、テキストに適用されていた段落スタイルや文字スタイル、オーバーライドもすべて含むテキストアセットとして追加されます。このテキストは、InDesignはもちろん、Illustratorからも開くことができます。

フォーマットなしでテキストを使用する

CCライブラリのテキストアセットを、書式情報を含まれないフォーマットなしテキスト(プレーンなテキスト)として使用したい場合には、[CCライブラリ]パネルからshiftキーを押しながらテキストアセットをドラッグします。

フォーマットされたテキストとして使用する

[CCライブラリ]パネルからInDesignドキュメント上にテキストアセットをドラッグすることで、(CCライブラリにテキストオブジェクトを追加したときに適用されていた書式を維持したまま)テキストを取り込むことができます。
ただし、InDesign上で追加したテキストアセットをIllustratorで使用する場合、Illustratorに存在しないプロパティは無視されます。
例:フォントが「Times New Roman」、カラーが青、「段落分離禁止」が適用された InDesign のテキストをCCライブラリに追加します。このテキストをIllustratorで使用すると、フォントとカラー情報は問題なく引き継がれますが、[段落分離禁止]のプロパティは無視されます。同じアプリケーションでテキストアセットを使用する場合には、このようなプロパティの欠落は生じません。

いずれにせよ、InDesignで追加したテキストアセットをIllustratorで使用する場合には、完全な状態で使用できるわけでなないので、プレーンなテキストとして使用したいケース以外では使用しない方が良いかもしれません(プレーンテキストとして使用したいのであれば、テキストファイルを使用すれば良いですよね)。

InDesignで追加したテキストアセットをInDesignで使用する場合、元の状態が保持されないものに、以下のようなものがあります。
フレームの種類(プレーンテキストフレームorフレームグリッド)
フレームのサイズ
(組み方向以外の)フレームの属性
合成フォント

なお、テキストオブジェクトを[CCライブラリ]パネルの[グラフィック]カテゴリーに追加した場合には、すべての書式や体裁が維持されたまま、InDesignで使用することができます。目的のテキストオブジェクトを選択した状態で、[CCライブラリ]パネルの[コンテンツを追加]ボタンをクリックし、[グラフィック]にチェックを入れて[追加]ボタンをクリックします(下図)。ただし、Illustratorで使用する場合には、画像化されてしまうので注意してください。


懇親会会場

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第43回勉強会後の懇親会会場が決定しましたのでお知らせいたします。

場所:伍味酉 名古屋駅前店
   〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅3-18-6
   TEL 050-3491-6779
時間:午後6時30分〜
料金:4,000円

よろしくお願い致します。


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